『モモ』一番心に沁みた物語

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ブログを開始して1か月が経ちました。ブリキのブログにお越しくださりありがとうございます。

ブログ記事は人生の棚卸をテーマにしています。今回は人生に大きな影響を与えた本を紹介したいと考えてます。

『モモ』(岩波少年文庫127)ミヒャエル・エンデ/大島かおり

『モモ』ミヒャエル・エンデを読んだのは中学1年生の時でした。映画ネバーエンディングストーリー原作『はてしない物語』と同じ著者なのは読んだ後に気が付きました。

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モモの物語どこに惹かれたのか

時を忘れて物語に飲み込まれました。時間泥棒から盗まれた時間を取り返す少女モモのお話です。カメのカシオペイアや道路掃除夫ベッポとのやり取りが人間として生きる方向性を定める指針になるほど深く魂に刻まれました。「平等ではない生と死」「真の豊かな時間」「心を成長させる聴く力」ミヒャエル・エンデが6年の歳月を掛けて書き上げた作品です。

モモ「聴く力」に優れた少女は時間を感じる心を育てていく

家族はいない身元の分からない少女モモは町の人々の人気者でした。理由は「聴く力」の天才だからです。黙ってじっくり相手の心が溶け元気になるまで何も言わず聞いてくれる稀有な存在です。モモは物語をじっくり楽しんでいる読者自身だと考えてます。モモを通してそれぞれの登場人物の言葉に耳を傾けて物語の世界を案内してくれます。

道路掃除夫ベッポは一歩ずつ着実な仕事をする特別な友だち

急ぎ過ぎたり、正しいものを見極めず口からうっかりでるうそのせいで世の中の不幸は起こっていると考えているためじっくりと時間をかけて考えて答えます。

ある時にベッポがモモに仕事について話すときがあります。

とても長い道路を受け持つと、これでは とてもやりきれないと思ってしまう。
だから、せかせかと、スピードを上げてやろうとする。
時々目を上げると、まだまだ残っている。ちっとも、減ってない。
だから、もっとすごい勢いで、働こうとする。
心配でたまらないから。
でも、そうすると、しまいには息が切れて、動けなくなってしまう。こういうやり方は、いけない。一度に全部のことを考えては、いかん。
次の一歩のことだけ、次のひと呼吸(ひといき)のことだけ、考える。
いつもただ、次のことだけを考える。
すると、楽しくなってくる。
これが、大事なんだ。
楽しければ、仕事はうまく はかどる。
こういう風にやらにゃあ、だめなんだ。ひょっと気づいた時には、一歩一歩進んできた道路が、全部終わっている。
どうやってやり遂げたかは、自分でも分からない。
これが、大事なんだ。

 

私の心のブリキ小屋にベッポはずっと住んでいてくれています。まずは何か目の前のことをはじめようと教えてくれています。

カシオペイア「オソイホドハヤイ」

30分先の未来が見えるカメ。モモがカシオペイアにもっと早く歩けないかと問うと「オソイホドハヤイ」と甲羅に映して答える場面に着実に行くべき方向を見極め実行する時間が歩幅が小さくてもゆっくりでもどんどんはやく進むための努力の積み重ねとして必要な時間を表現されていると思いました。

物語から感じるゾッとする真実

主人公よりの登場人物は本当の豊かさへ気付きを与える存在です。それ以外の「人間が干渉できない時間の存在」や「心の豊かさを奪う存在」も衝撃でした。

マイスター・ホラ

「命のろうそく」の件で生きて死ぬまで時間は平等だと思っていた価値観が崩れます。分かってはいたけど様々な形や状態のろうそくを想像することで「いのち」と「死」について考えて「”今”という自分の時間」をどう生きるかを能動的に決断していくことの大切さを学べます。

灰色の男たち「時間貯蓄銀行」

時間泥棒である灰色の男たちは町の人々に「無駄な時間を貯蓄しよう」と持ち掛けます。漠然とした裕福さや想像できない成功者となるために効率的に歯車となれと言われます。”今”に満足していない心の隙間に入り込まれて本当に望んでいたかも分からない成功に向かって効率的に動くためだけに頭がいっぱいになります。

無駄な時間=大切な人と関わるプライスレスなひと時や趣味に没頭する時間だとしたらそれを無くしてお金を手に入れても人生豊かになるのでしょうか?

無駄と思われた色鮮やかな時間たち

毎日同じような日々でも決して同一な日はないです。日々の暮らしを良くするために経済的に裕福な生活を追い求めるのは素晴らしいと思います。ただ大切な人を置き去りにして孤独になったり心の余裕を失ったら本末転倒な気がします。毎日平穏無事なことが幸せなことに気付けたら何気ない一日も宝物になります。

読んだ時の年齢や精神状態により感じ方は人それぞれです。小学校高学年以降の子ども達に是非読んでもらいたい物語です。

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